しかし、現実は甘くはありませんでした。
須田さんが、AKB48の選抜入り、しかも神7入りした「LOVE TRIP」のPVへの登場は、合計してもほんの数秒にすぎませんでした。
それに加えて,須田さんは,AKB48 46thシングル(11月発売「ハイテンション」)の選抜メンバーに選ばれませんでした。
この選抜メンバーの発表は、9月開催の総選挙にランクインしたメンバーだけのコンサートで発表されました。
須田さんはこの日のことについて、こう語っています。
「選抜が発表されたコンサートを両親が見に来ていたんです。だから、泣いているところを見られたくなかった。ホテルに帰ってから、ビャービャー泣きました。
私より、私を応援してくれるファンの方が認められてないって思われるのが嫌だった。私は夢を売らないといけないのに、何を売っているんだろうって。」【1】
総選挙で頑張った須田さんのファンは当然落胆しました。
しかし、AKB48グループメンバーの中においても、須田さんの選抜落ちは、衝撃として受け止められたようです。
たとえば、HKT48の兒玉遙さんは、
「そして、新曲の選抜発表。実は私の心の中でずっと大きくなっていたこと。
総選挙選抜入りしたからと言って次、新曲選抜に入れるのか?妹グループからは2人と思っていたから、、、
だから、本当に嬉しかったです。
でも、それよりも大きく感情をうごかされたこと。
いつも笑顔で、どんな時も明るく元気で、ファン思いなところや、人一倍感謝を忘れない姿勢に刺激を受けた人。
もっとお話してみたいと思っていた先輩と近くで活動できなくなるのは寂しいです。
どうして?って思いました。
ずっと笑顔でいるなんて本当は無理。
それでも笑顔でいる人に、私は元気づけられているしこれからもついていきたいです。」【2】
兒玉さんは、その「先輩」が誰であるかを明かしていません。
しかし、48グループのファンの誰もが、「ずっと笑顔でいることは本当は無理」でも、「それでも笑顔でいる人」とは、”須田亜香里でのことではないか”という確信を持ったことかと思います。
そのような確信ができた理由は、おそらく須田さんがSKE48加入以来、「ダスノート」でファンの名前を覚えて握手会で「神対応」しようとした努力を重ね、さらに公演やブログなどでファンのひとりひとりと絆を作ろうと努力を重ねた人が、AKB48グループ内では他にいないと、共通認識が成立しているからだと思われます。
須田さん本人は、「AKB48選抜落ち」という厳しい状況に追い込まれても、ブログやモバイルメールではその辛さに言及するのは最小限にとどめました。
それどころか、須田さんは、厳しい状況から逃げなければきっとこの先にファンと一緒に見られる笑顔があるはずと信じて、ファンを楽しませようとしました。
そして須田さんは、選抜落ちの涙の末に、ひとつの決意をしました。
それは,「「須田を外しちゃいけない」と思われるようになるということでした。
いないと(AKB48)グループに響くと思われるぐらいになればいいって。」【1】
しかし、この時期の須田さんは、こうした辛い思いをファンに対しては隠していました。
あるインタビューにこう答えています。【3】
記者「(平成28年の)下半期はちょっと嫌な時期が続いていたんですね。」
須田「「7位なのに」ってファンの方に感じさせてしまったのが、自分的にはすごくつらかったです。本の出版を発表するまでは悩んでばかりでしたね。3日に1日は泣いていました」
記者「そうでしたか・・・」
須田「ファンの方に幸せを届けられていないのが、私としては…。前に進めている感覚がありませんでしたし、少し負のオーラが出ていたかも知れません。いや、出さないようにしていたんですけど、3日に1回噴火していました。」
神7入りの光と影…須田さんはその両方の間で揺れながらも、変わらぬ努力を続けたのです。
そんな中…
夢である写真集の企画も持ち上がらないそうした辛い時期に、須田さんに少しずつオファーが舞い込んできます。
Part 16 へ続く
<ソース>
【1】月刊AKB48グループ新聞(平成28年12月号)
「月刊AKBグループ新聞アワード2016 カムバック賞」インタビュー
なお、同じく総選挙選抜メンバーの岡田奈々さんは、須田さんの誕生日に
「お仕事現場に須田さんがいると凄く嬉しい岡田奈々です。
須田さんの元気な姿を見ると凄く嬉しい岡田奈々です。」
とツイートしてくれました。
【3】グラビア・ザ・テレビジョン49号 須田亜香里インタビュー