須田さんには、2017年の春頃から、さまざまなオファーが舞い込みます。それは、あたかも7年間の長い長い冬の後に、ようやく咲いた花のように。
フジテレビ「スカッとジャパン」のリコピン役では、その悪女の名演技(?)に、広くお茶の間に浸透することとなりました。
その他、明石家さんまさんやダウンタウンさんが司会を務めるバラエティ番組に、次々とゲストとして呼ばれ、あるときは笑いを誘い、あるときは「ダスノート」の話題と握手会の実演で、他のゲストと観衆と視聴者を驚かせました。
また、テレビ朝日「豆腐プロレス」のオクトパス須田役としては、東京・後楽園ホールで行われたイベント(試合)で、所属する白金ジムに反旗を翻す「ダースーベーダーズ」のリーダーというヒール(悪役)のレスラーを演じました。
そのイベントを観戦した春風亭小朝師匠は、須田さんのリング姿とマイクアピールを「リングの上の千両役者」と讃えてくれました【リンク】。
そして、2017年11月1日(偶然にも彼女がSKE48オーディションに最終合格した日)、メ~テレの朝の情報番組「ドデスカ!」の番組初のアイドルのコメンテーターとして、隔週木曜日に出演することが発表されました。
こうして、彼女を取り巻く環境は、徐々に目くるめく華やかなものに、変化していくこととなりました。
しかしながら、環境が変わっても、彼女の温かいハートの部分は決して変わることはありませんでした。
もともと、彼女のアイドル活動は「ファンへの感謝」と深く結びついていました。
例えば、彼女の著書「コンプレックス力」では、「感謝」という言葉が少なくとも33回登場します。(しかも、「感謝」という言葉が現れるのは、全てSKE48加入後について述べられた部分のみ)
また、ファン一人一人について特徴や会話などをメモしている「ダスノート」は、とうとう12冊目に突入しました。(2017年秋時点)
こうした、須田さんのファンへの感謝は昔も今も変わりません。
例えば、彼女演じるオクトパス須田は、こんなマイクアピールをしています。
「ファンの皆さん、プロレスは、ファンの皆様あって初めて成り立つものです。
それは、私たちダースーベーダーズも同じです。
皆様の応援があって、初めて輝くことができます。」【リンク】
プロレスのヒールのレスラーといえば、ベビーフェイス(善玉)のレスラーとの対比を強調するために、悪役に徹するのが普通です。
しかし、演じる人のキャラクターが影響したためか、「オクトパス須田=ファンへの感謝を忘れないヒールのレスラー」という、不思議なキャラクターができあがりました。
そして、「ドデスカ!」出演発表後の11月4日の握手会・ソロステージで、彼女のソロ曲「今の私じゃダメなんだ」にあわせて、ステージ上のスクリーンにこんなメッセージを映しました。
「いつも一緒にいてくれてありがとう。
もう無理。
そう思ったこともあったけど
あれは全然限界なんかじゃなかった
一人で勝手に頑張ろうとしてただけ。
ネガティブな私と一緒にいてくれて
ありがとう。
もしみんなが挫けそうになったら
私が立ち上がれた理由を
思いだしてください。
それはあなたがいてくれたから、
みんなが私を思い続けてくれたからです。
これからもよろしくね。」
振り返れば、彼女が作り上げた「アイドル 須田亜香里」は、2年前に姿を消してしまいました。
しかし、アイドルとして本当に大事な「ファンへの感謝」「笑顔」「努力」という部分は、変わることのまま、「人間 須田亜香里」に確実に引き継がれているようです。
Part 21へ続く